専門家のアドバイスcolumn
空き家となった実家~税理士編
特定空家等に該当する可能性はありませんか?
不動産等を所有する方が納めている固定資産税ですが、通常の住宅も事業用の建物も、同じ税額では住宅に対する課税負担が重いということから、住宅並びに住宅が建てられている土地に対しては、固定資産税の優遇措置が設けられています。
しかし、一定の状態になっている空き家は「特定空家等」として、これに該当すれば空き地と同じ税金が課されることとなります。
特定空家等とは、
- 1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
をいいます。
これらに該当し、市町村から固定資産税等の住宅用地の特例が除外された場合、優遇措置が撤廃され、それまでの6倍の固定資産税と3倍の都市計画税が課されることとなります。
関わる法令
「空き家対策特別措置法」
啓発事項
まずは、空き家の状態を確認してみましょう。その結果、上記の内容に該当すると考えられる場合、所有者への税負担が大きくなる前に有効な活用方法を考えてみてはいかがでしょうか?
空き家の売却を検討されている方は
控除が受けられるかもしれません。
空き家の増加に伴う治安や景観の悪化、災害時の倒壊等が大きな問題となりその対策の一環として、税についても特別な制度が設けられています。
相続又は遺贈により取得した被相続人の住んでいた家屋又は土地を、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売却し、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
特別控除の要件については、
- 1.家屋又は家屋と土地を売る場合
- 2.家屋を解体した後の土地を売る場合
で異なりますのでご注意ください。
簡単に説明すると、
- 1.相続開始の直前まで被相続人が1人で住んでいたこと
- 2.相続日から起算して3年を経過する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡すること
- 3.昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 4.相続の時から売るときまで事業や貸付、居住用として使用されていないこと
- 5.譲渡価額が1億円以下であること
- 6.家屋を解体せずに売る場合は、その家屋が現行の耐震基準に適合していること
があげられ、提出が必要な書類もたくさんあります。
要件の詳細は国税庁「タックスアンサー」(No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)等をご確認ください。
関わる法令
「所法33、措法35、措令20の3、23、24の2、措規18の2」
具体例
この特例の適用を受けるにあたって特にポイントとなる要件が、「相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること」です。
例えば、老人ホームへ入居して自宅が空き家となっていたケースでは、亡くなる直前の生活拠点が売却される自宅から老人ホームへ移っていると考えられるため要件を満たすことができません。
また、この特別控除の適用は家屋(空き家)を主としたものですので例えば、遺産分割で家屋をAさんが相続し、土地はAさんとBさんが共有で相続したとします。
この場合、上記の空き家を売却しても特別控除が適用されるのは家屋を相続したAさんのみとなりますので相続財産の分割時点から注意が必要です。
啓発事例
相続によって取得した不動産は購入したときの金額が不明な案件が非常に多いです。よって、売却した際に高額な税金がかかるケースも考えられます。その際に上記の特例が受けられるかどうか等を事前に専門家に相談されることを推奨します。
財産を寄附すれば、
その財産には税金がかからない場合があります。
通常、個人が土地、建物等の財産を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附した時の時価により譲渡があったものとみなされ、これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます。
なぜ財産を寄附した側が税金を支払わなければならないのかと思われる方も多いでしょう。これは、個人から法人に土地、建物等の財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものなのです。
しかし、これらの財産を公益法人等に寄附した場合には一定の要件を満たすことで、上記の所得税について非課税とする制度が設けられています。
公益法人等とは
- ●公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人
(一般社団法人及び一般財団法人のうち一定の要件を満たすものをいいます。) - ●その他の公益を目的とする事業を行う法人
(例えば、社会福祉法人、学校法人など)
をいいます。
また、この制度を利用するためには国税庁長官の承認を受けなければなりません。その承認申請書の提出期限は、原則として寄附の日から4か月以内となっています。
関わる法令
(所法59①-)(措法40①)
啓発事例
善意の寄附であっても要件を満たしていない場合には、寄附した側に税金がかかってしまうのがこの制度のポイントです。
後々トラブルにならないよう事前に、専門家や寄附を行う相手に相談されることを推奨します。