空家の活用事例紹介works

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利生院

300年近い由緒あるお堂、
築100年以上の古民家を 障がい福祉サービス事業所に

所在地 早良区高取
築年月日 不明
面積 1階 98㎡
2階 98㎡
概況 地域のために役立てて欲しいと
遺された建物

利用実績

経緯

  • 2016/01

    オーナー様より活用相談

  • 2016/02

    活用事業者 選定

  • 2016/3

    障がい福祉サービス事業者より相談、現地内覧

  • 2016/04/08

    福岡市役所建築審査課訪問、住宅→福祉施設への用途変更について相談

  • 2016/04

    賃貸借契約書作成

  • 2016/5

    司法書士と打合せ(権利関係)

  • 2016/05/24

    現地打合せ(建築士)用途変更について

  • 2016/06/13

    現地打合せ(建築士、オーナー)改築計画、スケジュールについて

  • 2016/07/22

    着工式

  • 2016/08/17

    ワークショップ開催(漆喰塗り)

  • 2016/09/06

    工事完了、引き渡し

  • 2016/09/26

    地域説明会

  • 2016/10/31

    開所式

  • 2016/11/01

    開所

活用

  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用
  • 活用

利生院は2016年11月1日に開設された障がい者のための生活訓練事業所です。生活訓練事業所とは、精神障がいや発達障がい、知的障がいを抱えた方が、さまざまなプログラムや個人のニーズに合わせた個別対応を通して、社会で自立した生活を送れるようになるための場所です。利用者の中には、病院から退院して間もない方や引きこもりで社会から離れた生活を長いこと送ってきた人もいます。しかし、専門性豊かな職員が支援し、さまざまなプログラムに参加していく中で、自立できるようになり、再び社会に戻っていく姿も多くみられています。
 主なプログラムとして、WRAP(元気回復行動プラン)、SST(ソーシャルスキルズトレーニング)、書道教室、香道、パステル画教室、ヨガ教室、英会話、ギター教室、調理実習、お菓子づくり、地域探訪、茶話会など多岐にわたります。利用者の定員は最大20人で、通所のほか、職員が自宅を訪問して支援することもあります。
そもそも、生活上の問題を抱えた障がい者を支援する場として、この利生院はまさにぴったりの場所です。築100年以上の古民家を使い、敷地内には300年前の古地図にも載っている由緒あるお堂があります。内部は少々北欧風の家具を使っていますが、洋風エッセンスが降りかかった和テイストたっぷりの落ち着いた環境です。古来から地域に根付いた宗教的な場所でもあり、人々が癒しを求める雰囲気は申し分ありません。
この場を借りられる可能性があると聞き、早速訪れて古民家とお堂をみたときに、大きな鐘の音が心に鳴り響いた気分で、即座に賃貸交渉に入ったほどでした。開設以降、利用者から落ち着いた環境のすばらしさを指摘されることはしばしばで、そのたびに最初に受けた鐘の音の感覚は間違っていなかったと確信しています。
古民家、であるだけに、季節の移ろいと共に寒暖や台風などの天候の変化には気をつかう面もあります。しかし利用者とともにそのときどきに応じて対処しながら運営していくことは、逆に“出来合い”ではない“オーダーメイド”の支援にもつながっています。職員にとっても、落ち着いた環境での仕事はうれしいことで、求人に応募してくる方はみな一目で気に入ってくれます。
みんなちがって、みんないい-。
 まさに詩人・金子みすゞの詩の一文を具現化するために、古民家を使ったオーダーメイドの福祉事業所「利生院」はいまも活動を続けています。

でかぬーて 銭本

改築前

  • 改築前
    四季折々の風景を楽しませてくれる素敵な庭です。
  • 改築前
    家の中もきちんと整理整頓されていました。
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前

まず、御堂の庫裏を、福祉施設に転生させる、というプログラムに感動しました。
その御堂は天台宗のお寺というカタチで地域の人々の日常生活に役割を持った場所として歴史を重ねてきたのだと思います。そのような公益的な性質がそのままに現代の用途に繋がっていくこと自体、すばらしいと思いました。
お隣は、紅葉八幡宮。そこに寄り添うように添えられた修験道の歴史を抱えた利生院の存在は、古代日本から引き継ぐ神仏習合の典型です。もうそれだけで、あとは、建築的には現代の社会に適合する必要な機能だけを加えれば(改修すれば)いいのでは、という考えから始まりました。高木建築士

改築作業

  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前
  • 改築前

小さな敷地の中に御堂と庫裏が鎮座する外観に、殆ど変更を加える理由はありませんでした。室内の既存の壁と天井に手を加え、台所を刷新し、トイレのみ増築し、新しい役割の空間を再編しました。ポイントは、用途変更申請が不要となる、100㎡以下で利用計画を立てることが前提であったことです。古い建物は、現行の基準法との照らし合わせに従って、計画が始まることになります。
水回りの改修は、問答無用に、現代的な造作と設備にすり替えていく計画です。加えて、空間の意匠的、機能的な改修については、すべて、予算と必要性との相談でした。天井を解体し、空間の体積を大きくすることによって、個人の住宅ではない、空間の包容力のようなものが狙いとなりました。既存の襖を用いつつ、紙の張り替えを行い、室単位の配色を施しました。襖という既存の間仕切りをほぼそのまま用いて、新しい機能(使い勝手)に適応させることができました。高木建築士

完成

  • 完成
    以前の風格・風合いを生かした
    和モダンな建物へと生まれ変わりました。
  • 完成
    中庭に広縁を出し、
    ちょっとした夕涼みも楽しめます。
  • 完成
  • 完成
  • 完成
  • 完成

利生院に限ったことではありませんが、古い建築物の改修は、事前に改修費用を言い当てることが難しい計画の種目です。新築であれば、延べ床面積におおよその坪単価を掛けて、概算されているかと思いますが、改修には、ピンキリなところがあり、ぱっと見で予想する金額から、概ね大きく上回ることになります。今回の件も、当初は「最低でも500万円はかかる」とお話したのですが、実際に打ち合わせを重ね、図面を引き、施工者に見積もってもらうと、1000万円を越えていました。
このように予算超過したこともあり、既存の木製引き違い戸に断熱性能を与えるための内障子戸が、実施できませんでした。古民家の機密性は、現代建築の「高気密高断熱住宅」の真逆でありますので、冬の寒さは厳しいものがあります。しかしながら利生院については、未だ補うことができていません。
このように、古民家に新しい役割を与えて、現代に育ませるというのは、美しい話しの背景には、施主さんの「器」のようなものにゆだねている側面があります。そこを補う術を、設計者は担おうとしますが、実状は、それほど簡単ではありません。とにかく場数を踏んで、事例を蓄積し、経験を次の事例に還元する。そしてさらにその情報を社会で共有していくことができれば、新築至上の建設業界の中にストック活用時代が花開くと思っております。高木建築士

築100年以上の古民家の改修に初めて携わりました。天井を解体撤去し、梁を見せ勾配天井にします。
天井材をはがした瞬間から、前が見えなくなり、大工も顔が真っ黒になります。
工事よりも先に100年を超えて蓄積された埃落としから始まります。
梁を何度拭いても、雑巾が真っ黒になります。10回目を超えたころ、梁が黒光りしてきました。
床根太材が丸太の為、下地は新規やり直しとなります。
そして杉板フローリングを貼ります。既存の床レベルにある程度は合わせていきます。
レベル(水平)を完全にするならば、建具・サッシ・敷居どれも合わなくなります。この調整が難しいのです。
土壁で壁の中を通せないので新規配線も露出になります。
全般的に一筋縄ではいかずにかなりの時間と手間が取られました。稲葉工務店 稲葉嘉行

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